風の申し子-三合の理- |
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名= モノの根本的な在りようを縛る、名。 名は体を表す。 名乗りは、存在の働きを自ら定義することです。かく在る、かく生きる、という 『柳生暗殺帖』のおかげで五行関連の資料が増え、おもしろい記事も散見されるので、 「小次郎はどうして「風魔の小次郎」なのか?」 というファンでなければどうでもよさそうな「?」について観察してみました。 この問いかけに対する正解はないので、言葉遊びの一種とお考えくださってもかまいません。 |
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一気(太極)から派生した二気(陰陽)による、
ところで、五行にはもうひとつ「理」があるのをご存知でしょうか。 それは「三合」です。 本を読むまで柳良も知らなかったのですが、森羅万象は生々流転、始まり(生)、 言葉にすると「ほう、そうかい」で終わってしまうので、方位(空間)と季節(時間)を使って「木の三合」を図にしました。五行において風は「木気」なので、これは「風の三合」でもあります。数字は旧暦の月です。 『淮南子』曰く、木(風)は、 亥(十月)に生じ、 卯(二月)に旺んに、 未(六月)に死す。 三辰(三支)は皆木(風)なり。 この法則を利用した「風鎮め」「風封じ」「風送り」が日本の各地に残っていて、どれも大風の鎮静を図るものです。農耕にかかわる祈願だからでしょうか。 興味深いのが「風の三郎(※)」という風神の送り方。
歳時が六月なのは「木気の 送ることで風を早く死に追いやり鎮める、というわけですね。 ※『風の又三郎』(宮沢賢治)の背後にあるものは「新潟・東北地方に伝承されている風の三郎という風の神である」とのこと。 |
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で、思ったわけです。 太郎、次郎、三郎でも一郎、二郎、三郎でも、「未=三郎」なら卯は「次郎」だろう、と。 卯は「三合」における「木気の旺」。方局(寅・卯・辰)においてもそうです。 もっとも壮んにして、風の中の風。 直撃をこうむると少々、いや、かなり騒々しく「一刻も早く通り過ぎてくれ」と祈る破目になりますが・・・。 『北条五代記』に登場する風魔一族の頭領、小太郎が有名なので、その でも、ここにこういう「次郎」がいるのも悪くない。「小」がついているあたり、未熟で未完の大器を暗示しているようで最高です。 技に由来する忍の名もありますが、小次郎の場合は名づけ親がいるような気がします。 風魔の小次郎。 彼の本性は真名に秘められているのかもしれません。が、通り名もまたしっくりときます。 佳い名です。 |
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2006年09月27日 |