『柳生暗殺帖』第14話 -転生人造体γガンマ(2006年01月号)

(蓮夜)「お前を殺すぜ、風魔の小次郎」
(無名)「小次郎はオレが殺すのだ」
(霧風)「お前はここで殺す」
(小龍)「せめて苦しまぬよう殺してやる」
(項羽)「お前もいっぺん死んでみるか、小次郎」
(総帥)「おまえも我が秘剣に塵と消えよ―――!!」
(頑摩)「殺してやるぞ、小次郎ゥオオォーッ」

無名以外で、第14話までに小次郎と対戦した方々の語録を抜粋。
・・・いかん。こんな作業、するんじゃなかった。本気で悲しくなりました。
野郎からこんなふうに好かれても、小次郎自身はちっとも嬉しくないのに違いありません。この殺伐とした局面を打開するには・・・オナゴです。
小次郎はかわいい女の子が好きだろうから、五輪の戦士には1人、そういう彼女を入れてほしいですね。



特撮ヒーローモノみたいな副題にちょっと萎えかけましたが・・・。

小次郎が忍技を使ったので、柳良はぶったまげました。
頑摩の《覇轟拳はごうけん(※01)、《柳生殺刃・落華椿斬らっかつばき》にサバかれた、と見せかけて《風魔忍術・骸転身むくろうつし》。
実に豪快かつ爽快な「ケンカ」っぷりです。手癖、足癖の悪さは一級品。イカサマならまかしとけ。
口の方もいよいよ悪くなってきたようで、これで是音と相対した日には、どんな罵倒が飛び出すのか知れたものではありません。
少年漫画の主人公はこうであってほしい。たまらん。
※01:カタカナの正体はこれか。柳生一族の技は花の名に因むのか。

頑摩=我流羅ガルラ(空の一族)についてはだいたい予想していたのですが、「死人」とは思わなんだ。
勝手に体を使いまわされたあげく(※02)、「終わり」「終わり」とトラウマを刺激されて(小次郎、けっこうSだな)本人はさぞかし不愉快でしょうが、額に帝釈天(イー)の梵字を貼りつけたお方は、一度は引っ込むような気がします。

最終的には「五輪の守人」の三番目の戦士が、我流羅の肉体に宿って転生すると見た。

そこへ落ち着くまでに、「一人芝居」だか「腹話術」だか「二人羽織」だか、頑摩が披露する楽しい宴会芸を小次郎がけなしまくって虐め倒さないか、ちと心配です。
※02:羯磨衆の転生術は、あの世の魂(正確には魄)をこの世の肉体に結びつけて降ろす・・・といったところでしょうか。頑摩の様子を見て、気になることが出てきました。転生した風魔一族の総帥以下の肉体は誰のものか? という疑問です。だってあの人達、屍獄門の向こうから出てきたんですよ。たいした問題ではないかもしれませんが、第6話で戦士墓地を掘り返した小次郎が亡くなった兄弟達の遺骨(?)を発見したのかしなかったのか、明らかになっていないので。



『暗殺帖』ではさまざまな対立が展開していて、「柳生外道衆・羯磨」対「五輪の守人」が軸となり、これに風魔一族同士の対立が絡んでいましたが、もうひとつ。
駒を動かしているのは、多聞天ヴァイシュラヴァナの是音。
彼に敵対する勢力で同じ立場にいるのは、柳生蘭子。
整理すると、

カミ(意識) インドラ
カタチ(物) 魔剣《柳生暗殺帖インダラヴァジュラ 聖剣《風林火山》
ヒト 聖剣の正統継承者 《秩序》
・小次郎(風林火山)
・伊達総司(紅蓮剣)
五輪の守人 神子 宝剣 剣士






小桃




天風剣




小次郎(虎次郎)
伊達総司


北条家 :姫子(風魔一族の主筋。白凰学院の総長。羯磨衆の人質)
風魔一族総帥、項羽、小龍、劉鵬、霧風(手段において小次郎と対立)
柳生一族
《風林火山》継承者の直属の近衛隊
羯磨衆
盟 主:?
四剣王
多聞天:是音
持国天:?(無名)(頑摩)
増長天:?
広目天:吹雪
本家
・(姉)蘭子(白凰学院の武道指南役)
・(弟)蓮夜
忍(百三流)
(※03)
・土蜘蛛党:耶詛摩
・?   :飛鎌
・?   :百炎
※03:第1話の感想で置き去りにしていた疑問。百三流+頂点に立つ五部族で百八・・・ときたらハマる数字になりますが、どうだろう。

この戦いは柳生一族の内乱でもあります。蘭子と是音の将としてのいくさ、と云えます。
二人がいずれ相まみえるまでに、なにがどう詰められてゆくのか。チェスよりも厳しい一局であることは間違いないでしょう。
そして眺めれば眺めるほど、小次郎がエラく面倒な人間関係に巻き込まれているのがわかります。
だって小次郎だけですよ、すべての属性と深くかかわっているのは。
里で釣りをしていただけなのに。
オンナのケツを追っかけまわすのは男の仕事だそうですが、小次郎はオトコにケツを追っかけまわされすぎです。そのうちに奪い合いになるかもしれません。吹雪さん、どうですか。小次郎にもっとメルヘンを。



さて。
そろそろ小次郎が無名の存在に触れる時機です。
我流羅が正気(?)に返ったら、なぜ羯磨衆として行動していたのか―――すなわち自分が「誰に斃されたのか」を小次郎に告げるはずだからです。そこで初めて、小次郎は「無名」を知る。
彼の反応やいかに。
2005年11月24日

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